玄関を入ると、小さなお雛様と桃の花がお出迎えします。今年も桃の節句が近づいてきました。
お正月が過ぎる頃になると、街のあちこちで美しいお雛様が目にとまります。春の気配ですね。一年でいちばん寒い時期に、ぱっと心が華やぎます。
娘が生まれたばかりのこの時期、実家の義母から『お雛様を贈りたいのだけれど』と電話がありました。とても嬉しく、有難かったことを今でも覚えています。
けれど…収納の少ないマンション暮らし。実用性のないものを置く余裕は、正直ありませんでした。泣く泣く、『できるだけ、できるだけ小さなお雛様をお願いします』とお願いしたのです。
私の故郷では、お雛様を飾る習慣がなく、実家にもありませんでした。立派な雛壇を目にするたびに憧れ、『いつか娘ができたら、家に飾りたい』と思っていたのですがーー。
『遠慮しないで、素敵な雛壇を贈りますよ』
ああ、我が家がもう少し広ければ、ぜひ!よろしくお願いします!!なんなら段飾りで…そう言いたかった。でも、小さなショーケースひとつ置く場所さえない現実。
あれから娘は成長し(娘たち、になりましたが)、成人した今、振り返ってみるとーー小さくて正解だったなあと、しみじみ感じています。
どんな飾りよりも、無理なく出し入れできて、気持ちよく続けられること。それが、長く暮らしに寄り添う条件なのだと感じています。
というのも、0〜2歳ごろは危ないので、なるべく子どもの手の届かない場所に置くことになります。3〜8歳ごろは楽しみますが、それ以降は子どもたちも忙しくなり、お雛様の存在すら忘れてしまいます。親のほうも、家事や仕事に追われ、いつの間にか『義務』になってしまう。義務になると、どうしても面倒になります。出すのは節句ぎりぎり、しまうのは後回し。しばらくの間、親王さまたちには後ろを向いてもらうことになります。
狭い我が家に届いたのは、義母が選んでくれた手のひらサイズのお雛様。きっと、義母はいろいろな場所を巡り、探し回ってくれたのでしょう。とても素敵で、可愛らしい雛壇です。
ちなみに、五月人形も同じ理由でお断りし、兜はフレームに収めたものが届きました。
思い立ったら一瞬で出せて、一瞬でしまえる。
とても有難い存在です。
それだけでは少し寂しいので、桃の花を添えます。子どもたちが小さいころーーいちばんお雛様を愛でる時期には、幼稚園や家で飾り物を作って楽しみました。それだけで、もう『たのしいひな祭り』です。
しばらくはリビングに飾っていましたが、キッチンが隣にあるため、油分を含んだ水蒸気で飾りものが傷みやすいことに気づきました。そこで、いつでも目にとまる場所として、玄関に飾るようになりました。
毎日必ず通る玄関で、小さなお雛様が、今年も変わらず春を迎えさせてくれます。

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